おなまえ Eメール タイトル コメント > こんにちは。いち3です。今日は追悼として、プリンスの大好きな一曲を解説します。 > ボウイに続いて、プリンスも全曲とりあえず聴いて咀嚼しなければ、と思ってがつがつ聴いているのですが、 > いろいろあって、また長い旅になりそうです。良く分からないけれど、がんばります。 > > さて、その一曲は、WHEN DOVES CRY(ビートに抱かれて)でございます。まずは思い出から。 > 田舎のFMラジオの、恐らく地元女子大生あがりのDJが(当時のプリンスの「過激」なイメージ戦略を垣間見れますが) > 「プリンス流すのは、ちょっとこわいんですけど〜、一曲流しちゃいます」みたいな > いかにも昭和の女子大生らしい、カマトトぶった紹介をしつつ、流されたこの曲を、 > 陰毛も生え揃ったばかりの頃の私がエアチェックしたのが、プリンスとの出会いだったと思います。 > > その曲は、いきなり冒頭から高速のギターソロ、そしてマシンドラム(リズムマシン)のループ、そして呪術的な変な唸り声、そして変に簡素な三和音 > > リフ、そして主旋律ボーカルが入ってくると共に、バックの音はマシンドラムだけになると。 > > もうここだけで私は、「なんだこれは!」と驚嘆し、人生を変えられるぐらいハマったと回想できます。この35秒程度のオープニングだけで。 > > まず、冒頭からの高速のギターソロ。ありがちなEマイナーペンタながらもその直後の、 > ギターの2弦と3弦の開放を利用した、根音Bと思われる中近東モードぽいラインにつなげる、単純に云えば、わりと乱暴で変なギターソロ。 > > 私個人的には、この15秒程度のギターソロの強烈な印象だけで、その後いろんなジャンルで触れるギターソロ(特にHRHMブームで競われまくる高速ギタ > > ープレイ)について、 > いくらいろんなギタリストが流麗に弾いていようと、このプリンスのギターには、どうも勝っていない、何かが平坦でつまらない、などと > いつも客観的に、あまり感心しないように聴くようになってしまったほどでした。 > > 今になって考えてみると、この魅力は、プリンスが天性的に持っているリズム感覚だと思います。こんな簡素な15秒程度のギターソロなのに、グルーブ > > のウネリが感じられるというか。 > YOUTUBE等で、このギターソロをコピーする動画をいくつも観てみましたが、やはりニュアンスまでを完全コピーできている人はいなかった、と思いま > > した。 > これは多分、例えばビバップ期のジャズのソロに内包される、現在でもあまり解明されていないような > グルーブのウネリと同様だと思います。隠れた規則性でテンポが微妙に変動し、結果的にいろんな連符や複拍子等も出現されるような、つまりグルーブ > > ですね。 > まずここで、プリンスは所謂「ジャズ」でもあった、と云い切りたいわけです。 > > そして、その後のマシンドラムのループです。 > 調べると、LinnDrumを使用し、さらにBOSSの足踏みエフェクターを通したりしているそうです。 > 途中から、フェーザーぽい加工音も聴こえたりしますね。 > (ちなみにプリンスは、その後もこのLinnDrumの使用に拘り続けますね) > > で、この手のマシンドラムのループを聴いていると、私もそうですが、きっと誰もが、 > 倍音らしき音を拾ってでも解釈するというか、ピッチの揺るがない音色の繰り返しから、和声的な反復を自然に求めようとするはずで、 > 頭の中でベースが聴こえてくる、つまり極論的にはベースがいらなくなると。 > 多分これを、プリンスは真っ先に発想して、きっと誰もが感受できると予想して、 > あえて実践したと云えます。だからこの曲は、所謂ベースレスなわけです。 > 微かに鳴っている、チューニングしたタムの音で、ベースの輪郭的な音だけを鳴らしている、という説もあろうかと思います。 > そしてここで、プリンスは所謂「テクノ」でもあった、と云い切りたいわけです。 > > つまり、プリンスはジャズでもテクノでもある、という事が、この曲の冒頭の僅か35秒で示されている、と云いたいわけす。 > > そして、変な唸り声の後に、ACF ACE GBD の三和音リフが登場するわけですが、 > もうこれこそが、歌で云うところのサビだ、と云わんばかりに、思わず歌ってしまいますよね。トップノートのFEDを。 > この三和音リフが登場する瞬間の、清清しさというか開放感は、一体何だろうと、いつも思ってました。 > コードでいうと、ここにベースを鳴らすとすると多分F G F Gの繰り返しなんですよね。 > だからEはFMaj7の長7度なんですよね。だからAメロからのコードがAmとして、IV V VImとすごく普遍的な進行なわけですね。 > ベースが鳴っていないが、バスドラムのピッチからすると恐らく根音A、呪術的な唸り声も恐らくA、 > その前のギターソロのロングトーンはGbやBだし、なにやら基本的センスとしてにコラージュ的並び方でもあり、 > ここまでかなり和声は暈かされて不穏であるけれど、 > 三和音リフが登場で、かなり強く示唆されると。たぶんこれが気持ちよいんだと思うわけです。 > ここは、大げさに云えば、まるで当時の、時代の変革感を表現したかのごとき強引な進行ですね。 > 不穏、混沌が渦巻いていた70年代的音像が、軽薄ながらも軽妙な三和音に、あっけなく駆逐されていくような、いわばそんな感じです。 > つまりプリンスとは、最早云うまでもないだろうけれど、 > 既存のありきたりな歌や楽曲や構成、その概念を変えてしまうぐらいの才能だったはずです。 > > > さて、次は歌詞について、持論をやってみます。 > 単純に訳せば「鳩が鳴いている」という、良く分からない感じでした。なので、訳している方々のサイトを参考にしました。 > 性交事の喘ぎ声が、鳩が鳴いているように聴こえるという、バカみたいな比喩ですが、 > ここにはダブルミーニング的なものがあるはずです。「鳴く」と「泣く」もその一つ。 > 訳している方々によれば、最後のほうに「Don't cry」と歌ってることで、 > 単純に「喘ぐ」事ではなく、鳩=平和の象徴が、泣くなんて事は嫌だ、という意味も示唆していると。 > 歌詞の内容には、自分の性交は、その相手共々、まるで自分の父母を思わせるように、 > それにちっとも満足できていないようだ、というような主張があります。 > きっと父母は喧嘩ばかりで、つまりは自分の幼少時の、平和を乱す要因そのものであったと。 > 自分らの性交時の喘ぎ声が、音として端的に、鳩の鳴き声に似ているなどと行為時にふと気づく、客観的センスから拡張される、ネガティブな想い。 > 鳩の鳴き声、考えてみればまるでそれは平和が乱されているようだ、そういえば父母も、いくら性交していても、 > 喧嘩ばかりだった。自分らの性交時にまで、そんな記憶がちらつくなんて最低だな、 > でもまた性交してしまう。泣かせたくないけど鳴かせてしまう。全てがバカみたいだ、 > そのようなジレンマが渦巻いている、そんな倒錯感を、パラレル(並列的)な暗喩により表現せしめた歌詞世界だと、私は解釈しました。 > > もうなんというか、頭も良すぎるし、且つここまで踏み込んで表現しちゃうのも凄いとしか、言いようが無い感じですね。 > プリンスは、10代の頃にポルノ雑誌や官能小説をよく読んでいたらしく、抑圧された境遇下にて、悶々と性を妄想する、などという > つまりは私の記憶なんかにもありがちな、トラウマをダイレクトに(捨て去らずに)解放してくれる「勇者」としての歌詞でもあったわけですね。 > 既存の、所謂ロックの定型というか、当時のドラッグ蔓延文化も相まって、ようは「ただの性交ごときじゃ満足できねえ」というような軽めの常套句に > > 対し、 > プリンスの培った妄想と、それを整合する知性が、歌詞として、ひとつの新世代的に、文化に一石を投じ、その世界を拡張しているともいえます。 > > 正直、私個人的には、洋楽の歌詞については、解釈能力も無かったし、昔からかなり無頓着なほうだったと思いますが、 > 今さらになって、じわじわと沁みる感じが、どうしようかな、という今日この頃です。 > > いずれにしろ、プリンスは凄かったんだ、皆さんも是非聴いてみてください、という追悼文という事にいたします。では。 > 超絶長拙文を、読んでくださりありがとうございました。気に入ったらRTかいいねを押してください。あるいは付き合ってください。ではまた。 > > > #wataさま。hideですか。そういえば、私はhideに似てると云われたような記憶があります(すごい嘘) 参照先 削除キー (英数字で8文字以内) クッキー保存
- SUN BOARD -